zuwaigani3のブログ

個人の感想文です。ひとり読書会。

プラチナエンド 6

あとからあとから都合の良いルールが出てくるので、謎解き要素はイマイチなのだけど、絵が綺麗なので、買い続けている。とにかく絵が美しい。週刊でない分、書き込みが半端ない。週刊でなければここまで極められるのか、と考えると週刊誌の存在がご無体だな、と思った。

東大教授の父が教えてくれた頭が良くなる勉強法

この手の勉強法本を見るといつも思うのだが、それって本にして売れるほど特別なことだったのか...という驚き。
地方で予備校もない田舎だと高3の部活引退後から受験勉強をはじめ、行き着いた最高着地点で身を収める。全敗以外で浪人はしない。だから本書のような確実で最短なルートを取る、というのがセオリーだったりする。閑話休題

本文よりも見出しや解説に使われている図表やイラストが面白かった。
また、英語にいちばん時間を割くことや、数学や世界史の面白さ、を述べていた章は楽しく読んだ。自分も志望校には使わない二次数学の授業を取っていて、息抜きにしていた。これは著者の世界史選択のくだりと似ていて少し共感した。
ただ、全編を通して思うのは、著者の持つ環境と遺伝子が別格、ということだ。できなかった子ができるようになった、というサクセスストーリーからはやや外れるので、もともと頭の良い子の頭の良さを存分に開花させる方法、がタイトルとして正しいと思う。

月影ベイベ 9 完

小玉ユキ先生の長期連載終了。
2017年は、月影ベイベ、タラレバ、君に届け、と個人的に推しの作品が立て続けに終了かかっていて、感慨にふけりつつ、いずれの作者さんも出産、子育てしながら漫画を描いているという共通項を見つける。

9巻はフィナーレ巻で、お話は適度にまとめたといったふう。この作品の作風に乗ればこの美しすぎる終わり方で良きかな、と自分を納得させたいところだけど、キスシーンが隠されていたり、最後の結婚式で主人公が出てこなかったり、お母さんの幻影が出てきたりと、描写がむかし語り的で、幻想伝的で、しかしどうにも物足りない。前半はミステリーぽく運んでいたのに、なんか急にファンタジーになっちゃったというか。

幼児と接する時期って、なんとなく作風が柔らかくなるのかな、この作品も全体的にあたたかで牧歌的な雰囲気を強く感じた。設定のおわらの街自体そうそう性根の悪い人がいなくて、そういう筆運びにならないのか。やっぱ悪いやつっていったら都会にいる気がする。田舎の人たちは優しい。
きらきら透明やさしい世界、白玉サイドが続いたので、叶うなら初期の人魚や鶴の恩返しモチーフの作品のようなハードなテイストもそろそろ読んでみたい。モチーフはファンタジックなのに心理描写は泥臭くって憎々しい、みたいな。

しかしよくおわらという題材にしたよなあ、というのもずっと思っていた。この連載のはじまる1年ほど前に、富山のこの温泉街に行った。本番のおわらの時期を少し外していたのだけど、スピンオフの催しで見ることができた。なので、あの旅を反すうする意味でもこの作品はとっても面白かった。

君に届け 29

ついに次巻が最終巻。長かった。
最近、レジェンドな少女(女性向け)漫画がポツポツ終わりはじめていて、私まで気持ちが高まり荒ぶっている。
長い長いと言われていて、たしかに14巻あたりの両思い完結編で区切ったら、なかなかまとまりの良い漫画だと思うのだけど、しかし個人的には後半のあやねちゃん初恋編が最強にツボで、前巻も29巻もそのあたりがメインだったので、とても楽しめた。とにかくピンがかっこいい、先生としても男としてもかっこいい。スピンオフで、ぜひあやねちゃんとピンの10年後を見たい。あっさり別の人と付き合って結婚していたあやねちゃん、というのも良い。
長い長い連載で高校生活を描ききったというか、こちらは見届けきったというか、もう一度高校生に戻ったようなあの甘酸っぱい疑似体験を届けてくれた作者さまに感謝したい。私に届け、的な。私に届きました、的な。
10年くらい連載なさっていたのだっけ、それでも高校生の初々しさを残して描けるってすごいわ、最終巻を楽しみに生きる。

東京タラレバ娘 9 完

ついにタラレバ娘が最終巻に。
ドラマも見ていたんだけど、なんだあれは、という内容とソフトな終わり方で、きっと本編はえぐってくれるだろうと期待して読み進めていたのだけど、もうめちゃくちゃに、めちゃくそに面白かった。とにかくKEY君がかっこいい。登場したてのときに、どこがイケメン?なにがイケメン?とハテナが飛びまくっていたKEY君だったが、ほんとうにもう、めちゃくそにかっこ良かった。なんとかさんもかっこ良かった。すでに名前が出てこない、あの存在感の薄い優しい担当の男性。最後はぐっと存在感のある男になっていた。あ、そうだ、早坂さんだ。
途中、グダグダの巻が多くて、最終巻まで読み終わったら全巻揃えて中古で売りとばそうと思っていたのだけど、なんの、殿堂入り決定である。ラスト7、8、9巻のすさまじさといったら、画力もすごいしストーリーもすごいし、やっぱり東村先生すごいと思った。さきほどからすごいとしか書いていない。稚拙だが、すごいと思った。年下イケメンとの恋が成就なんて、鼻白むばかばかしい設定でしょう、でもそれがばかばかしくないのである。
KEY君の感情の入り乱れた歪んだ顔がほんとうにかっこ良くて、これだけでときめきを反すうできる。かくかくしかじかにあった、絵画技力の漫画への昇華というのが、この作品(とくに後半)では完遂されたのではないか。
とにかく良かった。
タラレbarもめちゃくちゃ面白かった、笑った。居抜き.comに笑った。

しんせかい

表紙をみて、こういうの、あんまり好きじゃないなあと思って、書き出しを読んで、ああやっぱりこういうの好きじゃない、狙っている感じが、と思ったのだけど、【谷】に入ったあたりから、ぐんぐん面白くなってきて、それはなぜなのかというと、このわざとらしい書体は素なのだ、この人、素なんだ、素で阿呆なんだ、ということがわかってきたからで、私はインパクトのある作品に出会うとどうにも文体を真似てしまう。
途中で、ヤマシタスミトという名前が出てきて、あれ、どこかで見たような、と表紙に戻ると作者の名前が山下澄人で、え、作者と同じ名前なの、どういうこと、と思いながら、北の国からのテーマソングが頭に流れ込んできて、この先生ってあれだよなあ、きっとあの人だよなあ、え、これ実話?実話ベースなの?と驚きながら読み進めた。
文章は幼いのだけれど、それでいて眼光鋭いところが好きだった。ときおり混じるエピソードの、西の人らしい滑稽さも良かった。一気に読みきって、これはほんとうに面白かった、食わず嫌いをしないで良かった、と心底思った。

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追記)
あとからこの小説をiPhoneのメモアプリだけで書いたというのを知って衝撃。ケータイ小説というレベルでなく、手のひらから作品が生まれる時代なんだなあ。