月影ベイベ 9 完

小玉ユキ先生の長期連載終了。
2017年は、月影ベイベ、タラレバ、君に届け、と個人的に推しの作品が立て続けに終了かかっていて、感慨にふけりつつ、いずれの作者さんも出産、子育てしながら漫画を描いているという共通項を見つける。

9巻はフィナーレ巻で、お話は適度にまとめたといったふう。この作品の作風に乗ればこの美しすぎる終わり方で良きかな、と自分を納得させたいところだけど、キスシーンが隠されていたり、最後の結婚式で主人公が出てこなかったり、お母さんの幻影が出てきたりと、描写がむかし語り的で、幻想伝的で、しかしどうにも物足りない。前半はミステリーぽく運んでいたのに、なんか急にファンタジーになっちゃったというか。

幼児と接する時期って、なんとなく作風が柔らかくなるのかな、この作品も全体的にあたたかで牧歌的な雰囲気を強く感じた。設定のおわらの街自体そうそう性根の悪い人がいなくて、そういう筆運びにならないのか。やっぱ悪いやつっていったら都会にいる気がする。田舎の人たちは優しい。初期の人魚や鶴の恩返しモチーフの作品のようなハードなテイストもそろそろ読んでみたい。モチーフはファンタジックなのに心理描写は泥臭くって憎々しい、みたいな。

しかしよくおわらという題材にしたよなあ、というのもずっと思っていた。この連載のはじまる1年ほど前に、富山のこの温泉街に行った。本番のおわらの時期を少し外していたのだけど、スピンオフ的な催しで見ることができた。なので、旅を反すうする、そういう意味でもこの作品はとっても面白かった。