君の膵臓をたべたい

ずっと気になっていた、ようやく読了。

君の膵臓をたべたい。まずその鮮烈なタイトルに引きつけられる、ナオコーラ以来の衝撃である。ネーミングの勝利である。
大好きな人が膵臓がんにかかって、憎いがん細胞を丸呑みしてしまいたい、とかいう意味で、世界の真ん中で〜のような展開かと思ってたけど、違った。世界の真ん中で〜は読んだことないけど。

テーマは重くタッチはライトな青春小説だが、純文学の要素も十分にある。ラノベも好きなのだけど、文体さえ整えたら、芥川賞だっていけるのに、と思った。描写がとても良かったり、月並みだったりするムラはありつつも、長さをぐっと凝縮してリライトしたら、もっと広く読まれるのだろうなあと思う。

死因だが、私はすごく好きだった、死因が好きっていうのもなんだけれど、この結末に、あ、ああ...という取り戻せない感覚が迫ってくる。あらゆる覚悟をして毎日を過ごしている人間は世界に数人なのではないかと思う。見通しがついてしまう現代に生きる者たちがどうしても退化させてしまう部分である。

表現手法として、名前がかっこ付きになっているのも良かった。まるで恋愛ゲームのような設定だけれど、この視点は無かった、この発想には気付かされた、というコロンブスの卵的な三人称の使い方、これが良かった。

ラノベ志望さんという背景とweb投稿というチャネル上、全体に軽さが含まれるのだけど、きっとたくさん本を読んでいる方なのだろうし、キラリと光るフレーズがけっこう撒いてあって、すごく良いなあと私は思った。読んで良かった。

こういう荒削りながら、新鮮な視点の物語って、ほんとう映画化に向いている。映画やっているの知らなかったから、ビデオで見たい。

すでに映像化はされているのだけど、神木くんとか渋谷くんを当てはめて読んでいた。