zuwaigani3のブログ

個人の感想文です。ひとり読書会。

スクラップ・アンド・ビルド

第153回芥川賞受賞作。「火花」と同時受賞したもの(たしか)。掲載号の文藝春秋を買い逃したので、図書館で借りたのだが、待つこと半年、今さらながら話題本を読む。

 

メモ

- 芥川賞を受賞した話題作では、蛇にピアス、乳と卵が好きだ。この二作も評価が割れるのでお好みの問題も多分にある、という前置きをしつつ、「スクラップ・アンド・ビルド」はわりとフツーだった。火花だけだとバランス悪いから堅実な作品を抱き合わせたという印象。2番でバントみたいな。

- 男性って、にわか政治ニストがぽちぽち存在していて、非力な人間が大局を吠える図式というか、その辺りうまく表現されていて面白かった。

- 最後、爺さんをどうにかしてしまうのかと思ったら、あっけなく日常に戻っていた。このふわふわ感にがっかりする気持ちは否めず。芥川賞なら、もっと骨太なシーンや結末のすごみを求めてしまう。

- 実母の忌憚ないセリフ回しを除き、ぐさっとくる描写があまり無い。

- 若者と介護という題材が年配審査員に、面白いネ!と思われたんだろうか。

- 読み終えた後、スクラップ/ビルドというタイトルにしっくりこなかった。老人のスクラップ、若者の再生ってことなのかなと思うけど。

- 1歳半のこどもを5、6キロはあるだろう、という描写があって、いや5、6キロって生後3ヶ月くらいだけど、、と思った。わざとボケているのか、よくわからない。

 

 

 

君に届け27

話題の石田さんには、君に届け27巻をぜひ読んでほしい。ちょうど高3の進路決めの時期で、風早くんが「大学に行かせてください!」というシーンがある。そう、こういうのだよ、こういうの待ってました、こういうの理想と思う。

大学でなくとも、資金調達に関しては、儀式、儀礼、というか様式美は踏んで欲しい。たとえば、卑近な例では、おごってもらったら、申し訳なさそうにおずおず財布を出す、または気持ちよくごちそうさまでした!と言うなど。反応は、性格や地域性に寄るから何でもいいんだけど。とにかく、スタートアップで技術がないなら、かわいがられないとだめじゃないかなあ。

自分も人の親なので、自分のこどもが石田さんみたいになってしまったらどうしよう、とすごく考えてしまうのである。石田さんの育ちが失敗とまでは言えないが、その精神性では世の中を生きていくのに茨の道なのは想像できよう。

それから、やりたいことは、たいていすでに始めていることが多い。君に届け、にもそのあたりはえがかれている。すでにやってきたことのなかに、ヒントはあると思う。

 

ココ・シャネル力 学校では教えてくれない77の言葉

ココ・シャネルの愛人人生を知らなかった。

だから水商売の人がこのブランドを良く所持しているのだろうか。だからタイトルが「学校では教えてくれない」なのか。

ココ・シャネルの人生を読んでいると、プラダを着た悪魔の編集長が思い出される。伝記要素もあるので、時系列にまとめてくれれば読みやすいのにと思う。

全体的に本としてはぺらいのだが、著者の八坂裕子さんのことば遣いにときおりハッとなる。奥付を読むと、著者は詩人なのであった。それからところどころ登場するキティちゃんの挿し絵はいったい何だと不思議だったが、版元が株式会社サンリオだった。

メモ

30 よくできた服は誰にでも似合う。

76 香水はどこにつけるかって、決まってるでしょ。キスして欲しいところに、よ。

マイベーシックノート

みひろぎさんの本。半年くらい前に買った。2013年末刊だが、2016年になって読んでも、写真が古臭くみえず色あせないところがベーシックの真髄を表している。

ただ、「毎朝、服に迷わない」の人の本もけっこう良くて、おふたりのポリシーで、特徴的に相反するのがバッグについてである。みひろぎさんは、バッグはベーシックカラー(黒、グレー、ベージュ(グレージュ))押しで、山本あきこさんはカラーバッグ押しである。

 

同じ30代でも、好きな服を着られる機会が多い人は山本さん、既婚で学校行事が多いとか職業柄だとかの理由でスタンダードを求められる人はみひろぎさんが参考になりそう。

 

フランス人は10着しか服を持たない

10着ではなかったのが衝撃だったが、原題はLessons from Madame Chic なのである。著者に非はない。マダムシックのレッスンとして読んでいると、自分もパリシックを疑似体験している気がして、楽しくページを進められた。しかしふわふわと心地よい読み物としては良いが、実用書としては物足りない。

とくに本書の根幹であるのだから、ワードローブの説明に実際の服の写真か、少なくともイラストを入れてほしい。ぐっとわかりやすくなると思う。第2弾も読んだが、こちらにも写真やイラストはなく、1冊目よりさらに抽象的になっていたので、どちらか買うなら1冊目のほうが良いと思う。2冊目はより一層ふわふわしている。

ともあれ、この本をきっかけにフランス本やコーデ本が流行った。タイトルだけで時代(というと大げさか)を作ってしまったし、10着しか持たない、と堂々と言い切っているあたりいっそすがすがしく、にくめないヤツといった感じである。

月影ベイべ7

お母さんとおじさんの過去回想編がひとだんらくして、話は蛍子の現在に戻る。ついに、男の子が告白したあたりが、やっぱり小玉ユキはうまい、と思った。次巻は2016年冬とあった。意外と長期連載で驚く。8巻までいくと思わなかった。