zuwaigani3のブログ

個人の感想文です。ひとり読書会。

竜とそばかすの姫(2回目)

1回目は竜の正体探しに気取られていたので、正体がわかったうえで落ち着いて再度、Uの世界へ。

1回目

https://zuwaigani3.hatenablog.com/entry/2021/07/18/113443

 

莫大なBelleの収益をチャリティへ。出会う前からすでに鈴は竜を助けているのだ。この後も福祉機関を通して支援することができるだろう。力あるね、すず。

 

すずと竜がなぜ惹かれあったのか。このくらいの年ごろはちょっと悪い男に惹かれるのよ。そのまんまセオリー通りのすず。理由なんか要らない。竜のほうはというと、天使を通してすずの初ライブを聴いているはずで、歌が心に響いたのだろう。ラブソングというよりは母を重ねた。あの日に竜が城を出たのは、ただひっそりとBelleの歌を聞きたかっただけかもしれない。しかしジャスティス達に見つかり、すずが竜の存在を知るところとなる。

 

竜はなぜ竜なのか。半年ほど前に竜がUの格闘場に現れた。国籍不明年齢不明。国籍に関してはケイくんとトモくんの風貌からしてルーツが複数あるのかなという気がする。待ち受けのお母さんらしき女性の絵もエギソチックだ。

厨二といえばドラゴン。登録時は少なくとも中一である。竜のAsネームが竜であることに不思議はない。もしくは天使がケイくんは強くてかっこいいからドラゴンみたいだと言ったのか。世界のちびっこ達もドラゴンが好きそうだ。Asネームが竜だかRyuの時点で日本語話者とわかりそうだが、犯人探しではBeastと表記されているので竜は日本人がつけたニックネームなのかもしれない。

ケイくんの登録名がわからないのと、しのぶくんはUを使ってるのかが分からずじまい。しのぶくんは使って無さそうだけどもし使っているならどんなAsになるのか気になる。

 

「はなればなれの君へ」に心打たれる。歌いながらお母さんのことを思い出す、すず。心の痛みはUのキャラクターにも伝播する。皆にお母さんが目の前でいなくなった悲痛が再現される。だから泣いている、みんな。

 

「好きだよBelle」

すずはケイくん呼びだけど、竜はBelleなんだなと思った。トモくんもいるからか。というか弟の前で告白できる中学生いるのか?

ともあれケイくんにとってすずはあくまでBelleなのだと思う。いつかはすずと呼ぶのだろうか。

まだ疑心暗鬼のケイくんだったが、すずに抱きしめられて、ほんとうに彼女はBelleなのだと実感する。でもちょっと待って。歌えば良いのでは。3人しか知らないあの歌を、すずの歌唱力で、フルで。

 

「ほんとうのこと言えずにごめん」

本当のことってなんだろう。背中の傷がDVに由来することだろうか。Belleを好きな気持ちだろうか。Belleのキスを拒んだ理由だろうか。(ディズニーにおいてキッスはとても重要である。竜とそばかすはキッスのないディズニーなのである)それに関連して自分がまだ子どもであることか。

ケイくんが急に素に戻って「ボク」というところが好き。これまでどんな顔して「醜さを笑いにきたのか」みたいなヴィランふう台詞を言ってたのかと思うとちょっと笑ってしまう。

 

 

以下、不満について。

最後の脚本と台詞にほんと納得いかない。

お父さんメッセ(LINE?)の「親切な子に育った」って何?親切じゃないよ恋だよ恋。すずは親切なのか?親切ではないよね、人の痛みが分かる子だけど。母親の行為もすずの行為も、親切という安っぽい言葉でまとめてほしくない。役所広司の演技力をしてもこのメッセ読み上げのほとんどの台詞が上滑り。外泊も黙認だしずっと会話してないからお父さん、娘との距離感おかしくなっちゃってるよ。海外上映だと高知と神奈川の位置関係が分からないから引っかからないのだろう。都会に行ったんだな、くらいできっと受け止めてる。

ケイくんの「勇気をもらった」これもぞわぞわした。親切とか勇気とか月並みな言葉のオンパレードで後半の脚本、力尽きてないか?

 

「心のそばに」良い曲なのだけどすごく好きなのだけど、外バルコニーにいたのにCGになったとたん背景が城の中に飛ぶのはなぜ。場所も絵の質感も精度も違って、いきなり場面が飛んだ。ドラクエ8のCGパートくらい飛んでた。最後の鯨ステージも使い回しだし(左右反転しただけ?)、CGも後半力尽きたのかな時間足りなかったのかなという余計な心配をしてしまった。

 

正体探しのミスリードのために登場人物が多すぎる。内面に迫るなら時をかける少女の3人プラスおばさんくらいがちょうど良いし、犯人探しならサマーウォーズ侘助くらいの、ですよね感がほしい。

 

ジャスティンがすずの顔をみたとき「Belle…!?」とか「お前はベ…」くらいヒント言わせてほしい。なんでモラおじさんが女子高生に負けてるの?という疑問をあちこちで見かけた。

 

合唱隊がvoicesだとして、歴史を変えてはいけないタイムトラベラーの要素があり、DVには気づいていたけど止められなかったのか。Uの世界の秩序のため、しゃしゃり出ることはできず、他の誰かに気づいてもらう必要があった?

 

「ラブソング(仮題)」だったというのを見て。ラブソングというタイトルはとても合う。ソングは大成功だと思う。しかしラブはやっぱり脚本だから。脚本にラブのわかりやすい軌跡がほしい。

 

竜とそばかすの姫

えっそこでおしまい?

竜そばを見た最初の感想はこれ。エンディングロールでふたりのその後についてヒントになるカットくらい出るだろうと凝視してたが何もなく。肩透かしのまま終幕。

竜は誰か。その謎解き要素があるせいで、あれこれ自論で予想を始めてしまった、それが良くなかった。素直に見れば良かった。せめて竜はこの中にいる、という絞り込みだけでも展開のなかにあれば見てる側として助かる。着想と観客の橋渡しする脚本家をぜひ入れてほしい。

(以下、ネタバレあり)

 

 

 

 

 

 

竜はすずの父親かしのぶくんだと考えていた。きっと竜は母の死に関連のある男。開幕10分以内に出てきた男。映画的に。まずはしのぶくん説。川で助けた子どもをあの川中に置き去りにしたのは幼い頃のしのぶくんだった…!みたいな!良心の呵責、重い十字架みたいな。しかし竜がBelleのキスを避けたとき、これは父親でファイナルアンサーではないかと絞り込んだ。しのぶくんだったらきっとそのまま口付けを交わすだろう。竜はBelleの正体に気づいている。だから口付けはできなかった。親子なので。そして天使はダイニングに飾られた母親の写真からコピーした、この世に存在しない者の投影なのである。DNAは片見分けの何かでスキャンしたのだろう、などと考えていた。映画的に。

ところが予想はまったく外れて、竜の正体は高知の人間ではなかった。大外れだ。メインキャストのなかに竜がいないとおさまりつかないだろうと思うのだが、細田脚本に予定調和という文字はない。

 

そして、竜の叫び。助ける?の連呼。

女子高生がひとり電車へ飛び乗り東京に向かう。合唱隊のおばさんが駅まで送るって言ってたけど、駅までなの?なぜいっしょに行かないの?川崎まで行ってどこかで待機してれば良いのでは。そのことに疑問符が止まらなかったが、なんとか夜行でたどり着くすず。私の心配をよそに行き着いた先ですずは運良く現実の竜と再会を果たす。

Uはとても狭い現実世界の写し鏡だった。これは十分にあり得ることで、生体情報の近い人間同士だとAsが呼応してしまうのだろう。ジャスティンは自分が切り付けた血の跡で、そばかす強調メイクのBelleを思い出したのだろうか。そして互いに相手が誰だかを知る。

お前をアンベイル(Unveil)してやろうか?そう言っていた奴がいちばんアンベイルを恐れていた、それはとてもよくあることだ。男の後退りはすずの目力で退散したわけではなく傷害罪に怯えたわけでもなく、知っているぞ、見透かされているぞというアンベイルの恐怖。一時はスポンサーもつき陶酔と自己実現の場であったUと現実世界がリンクすることに恐れ慄く、匿名性のなかでしか生きられない男、大人なのに。

 

さて、すずはどっちとくっついたの、という問いなのだけど、伏線となるのは合唱隊メンバーの思い出話である。留学先で恋をした、付き合わなかった、相手は中学生だったの。

竜と姫。恋は恋として物語は完結したのだと思う。時をかける少女でもこれに近いことが言及されていてたしか「未来で待ってる、走っていく、なんて言っておいて、真琴はあっさり別の人と結婚してそうだけど」のようなコメントだった。

すずは目の前の現実的な相手、しのぶくんと等身大のお付き合いをするだろう。学校のヒーローなんて卒業すれば意外となんでもないものである。世の歌姫になったすずに本気出すしのぶくん、これからのしのぶくんを見てみたい。とにかくしのぶくんがかっこ良かった。

 

その他の反芻。

- Suzuがなぜ名前をBellにしたのか分からなかったけど英語で鈴、なるほど。見終わったあとに気づいた。ここでちりりんと鈴でもひとつ鳴らしてほしい、ベタだけど。風鈴でもいい。そう、ベタが足りないのである。

- 美女と野獣モチーフもダンスするまで気がつかなかった。バラもあったのに。フランス語でBelleのあたりで、へー美女と野獣のベルと同じだなと思ったけどなぜか気づかなかった。視聴者は意外と鈍いのである。

- Belleの正体、みんな「知ってた」とこが良かった。(追記) 単純にこのシーンをギャグとして笑っていたのだけど、あとから気づいて膝ぽんだった。

「Uはこの世の知性を司る5人の賢者「Voices」によって創造された究極の仮想世界。」

5人の賢者、これ合唱隊メンバーだった。キャストの紹介のサイト見たときに医者やら学者とかやけに専門職が揃ってるなと思っていたが、見返すとリーダー漁師、医者、学者、酒屋、農家。ああ、だからみんな知っていたのである。ふたつの舞台は最初から高知だったのである。だから鯨がスピーカーを積んでいる。あの鯨こそ、すずの母親の化身なのかもしれない。

- 中村佳穂さんの歌がほんとうに良い。最初から涙でちゃった。すずに当てたぎこちない声がどんどんこなれていくのも良い。

- Belleの歌声をはじめに気づいてくれたのは天使くんだった。天使が聞いていたということは竜も最初から聞いていたのである。二人は最初の最初から出会っていた。恐らくは天使がBelleの歌を聴きたいというので連れて行こうとし城から抜け出たところをジャスティスに見つかったのだろう。

- 歌え!歌え!のところが怖い。

- るかちゃんと話してるとき、すずが何度か「死んだ」っていうのが良かった。るかちゃんは明るく透き通っていて、すずの母親の事故を知らない。るかの前でならすずは「死んだ」って冗談で言える。

- 現実世界は美女と野獣が逆。田舎の内気な女子高生と裕福な都会のイケメン。川崎が都会かはおいておく。どちらも川がある。国体カヌーくんも、鯨も。全編に水が流れている。水は必ずひとつになる。必ずつながる。ネット世界との呼応である。

- 世界を救う目的は意外と自分に近いことである。他人から見ればなんでもない、世界のニュースとしては次の日には掻き消されていくような、なんでもないそして個人には重大な事件である。でもそれを映画の主目的にしたのは細田監督らしさがある。

細田監督は子どものテーマが入ってくると迷走する。見せたいテーマやモチーフがまずあってそのために映画が存在するのだろう。

 

 

追記)

filamarksにも、もっとすっきりした感じで書いた。突っ込みどころ多くて考察をあれこれ書きたくなってしまうあたり細田監督はすごい。

https://filmarks.com/movies/94514/reviews/115454948

 

追記)

- トレーラーで出てたからオープンかと思うけど「ほんとのこと言えずにごめん」ってなんだろう。

好きだよ、かな?ふつうは好きだといって恋が始まるのに、好きだといって、そして相手がそれを受け止めて、さわやかに恋が終わる。

 

2回目

https://zuwaigani3.hatenablog.com/entry/2021/07/29/052110

 

 

 

 

 

東京タラレバ娘 シーズン2

1巻読んだときは、なんか面白く無さそうだな〜主人公に共感できないな〜私は読者対象外かな〜これが世代ギャップか〜なんて思っていたのだけど、とりあえずぐだぐだ始まって巻を重ねるごとに面白くなっていくのはほんと東村先生の真骨頂である。

3巻くらいまでは、こんな先輩いる?こんなオーナーいる?こんな子どもいる?つくりすぎでしょうが!と思ってたキャラたちが、4巻5巻では見事に調和して、ウザさが無くなり、背景を持ち、人間味を増して、10号の存在すら尊い心持ちになる。

ことに新刊の5巻はマジでやばい(語彙力)、うわーありえないと思ってたオーナーのこと好きになっちゃったわ……心理描写の画力がすごい。対照的に令奈の空回りもとても良くわかる。11号の話聞いてた?

そしてなんだかんだ柄物カップルでふたりは合うのかもしれないな。6巻が楽しみで仕方がない。

 

 

メモ:

私だったらバルでバイト採用された大学生にbetします。

 

 

追記:

読み返してたら、オーナーけっこう話しかけてる。そして彼女は夢が良い。オーガニックママの息子の夢も良い。私も大学の先生に聞かれたとき同じことを言ったら、万場一致でいいね!をもらった。

海や本にはロマンがある。

 

 

追記:

そこで終わるの!?というめちゃくちゃエモいシーンで巻末切れてるので、待ちきれなくて、KISS買っちゃった。

いやー6巻も期待大で良いと思います。もうめちゃくちゃに良い。オーナー好きだわ、惚れるわ、翌日の対応として最強じゃないか?あとふつうに森田さんに爆笑。

教えて!佐藤ママ 18歳までに親がやるべきこと

近著はだんだんとうまくいかなかったときの話も出てきている気がする。それがリアルで助けになる。

 

金言メモ)

座る練習をする。プリントでなくとも折り紙も良い。書き直しをさせるのはゆっくり丁寧に1回で。子どもはやり直しというものが死ぬほど嫌い。やり直しのときは手伝ってあげる。甘やかし、とはまったく違う。興味を持つのを待つのでは遅い。

 

誕生日には全員にプレゼントを買う(→これ知らなかった

 

12歳までテレビは見せない。名探偵コナンは見せていた(コナンは初見

 

(双子で)小学校受験で片方が抽選落ち、学力試験落ちのときはふたりとも公立へ行く

 

夫は壁紙だと思ってスルー(→爆笑

 

義理の両親は基本的に他人。子どもの将来に責任を持って育てているのは私なのですから、口は出さないでください、というべき

 

我が家も小学校5年生くらいのときに辞書を捨てられたり、いじめにあったことがありました。(→これも初めて見た

 

点数にならないミスはただの実力不足

 

不合格のときの言葉がけの台詞を練習をして号泣していた。三男が灘に合格した後も。

 

長男は仮面浪人(これ今まで言わなかったよね?初見

きのう何食べた?17

肉巻き好きだ、わかる。

料理めんどくさいなと思うときに読むと、やる気出るよい漫画。ただ最近は終活じみてきて、キャッキャ精神では読めなってきた。どちらかがどちらかを看取るまで描ききるのかなあ

大奥18

和宮編。和宮さん好きだわ。

家茂の亡きあと、あっと言う間に倒幕。幕末興味ないので飛ばし読みしてしまった。いよいよ19巻で最終章らしい。良いマンガだった。

最後はまた八代様に戻るのだろうか。

英語は3語で伝わります(2018/9/16)

動詞リストは参考になった。

関谷英里子さんの本が気に入ってて、今でもバイブルなのだが、それに似ているな、と思った。

推し本
カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパ-ソンの英単語帳 たった60語でうまくいく

2009年刊なのにびっくりした。

調べたら、関谷氏が2012年に近似書を出していたので、本書には二番煎じ感がある。

関谷英里子のたった 3 文で OK! ビジネスパーソンの英文メール術

中身はふつうなので、タイトル勝ちという印象。